ねんきん特別便に記載がない記録・・・いろんな事例の提示とその対処法(2)
前回に続いて、今回も、ねんきん特別便の記録と自分の会社勤務した記憶、国民年金の記録と納付した記憶との齟齬について。
「自分の記憶と記録が異なる」
「会社にずっと勤務していたのに、一部の期間が漏れている(ない)」
「国民年金は絶対欠かさず納めていたのに、記録がない」
・・・これらの事の真偽というと、非常に難しいものがあります。
それは、報道があったように、記録がないのは、社会保険庁の職員に横領されたにちがいないとか・・・色々言われますが。
具体的に「昭和##年の頃、保険料がどのくらいの額で、どういう保険料の支払い方をして、保険料の支払いの窓口は市役所で・・・」など具体的な説明を、国民年金の記録照会申立書に書き込むことになりますが、どう考えても「まったく分からない」「親に任せていた」とかいう言い方をされたら、手がかりもなく探すことは、ほとんど不可能なので、悪く言えば、「泣き寝入り」となります。
もっとシビアに言えば、「そういう事細かなことを覚えていないことが国民年金を払ったという信憑性を欠く」「払ったというのは嘘」と判断されることが多く、第三者委員会に申立てしても、ほとんど申し立てた側の言い分が通ることはありえません。
こういう人が窓口に来た場合、本人が言うには、30年~40年前のことなんか忘れているという発言が多いのですが・・・。
よくあるパターンは、遡って払ったとかいうのも、過年度納付で時効になっている部分は遡れないが、遡れるだけ遡って支払いますと言って払ったものを、窓口の人は、全部遡ったかのごとく言っていたか、または本人の思い違いかで支払いしたと思い込んでいるのもあります。
(具体的な窓口での言い方・・・記録のもとになったマイクロフィルム(原簿)を見たいと言う)
画面で言えば、(「国年」、「厚生年金」で)「080」画面といわれるもの。マイクロフィルムの画像が画面に出てきます。
原簿(マイクロフィルム)と端末上の情報の齟齬
・・・これも、私は「どうして???」「何故???」と思う事例にいくつか私は遭遇しています。
こういうことも、社会保険庁に不信感を抱く窓口に来た人は言ってみるべきかもしれません。
現実に、私は、国民年金の年金記録照会申立書を書いてもらう前に、マイクロフィルム(原簿)を確認してみたりすることがよくあります。
本人の記憶も、それなりに合致することはよくあります。
つまり、本人が「支払った」と主張するなら、端末上の情報が本当なのか?と疑ってかかるところに私はスタンスを取っていたりします。
(端末上の情報)
・・・現実に、マイクロフィルムと、この上記のような端末上の記録との齟齬が、本人の訴えから、いくつかの事例で、私は見つけています。
現在、そうやって表示できるのは、昭和58年~61年くらいまでの記録がマイクロフィルムで見れるものは見れます。
例えば、厚生年金の戦中の記録であれば、消失したというのもあったり、現実に社会保険庁長官がマイクロフィルムに収録したら原簿を捨ててもよいと指示して、なくなっている原簿もありますので、すべてをフォローできているわけではありません。また、その戦中や終戦時の厚生年金の原簿(マイクロフィルム)は、本当に文字が非常に判別が難しい(数字なんか特に)ものだったりします。
その原簿は、本人があまりにも「おかしい」「こんなことはない」などの発言や年金記録に不信感を持っているので、納得させる材料として見せているのですが・・・
そういうものを確認している途中に、「???」というものがあったりします。
つまり、端末情報では、国民年金の納付が「未納」になっているのに、原簿では、しっかり納付のハンコを押してあったりして、「おいおい(^^;」と思ってしまうものが、現実に何パーセントかはあります。もちろん、逆に、「納付(「A」のマーク)」となっているのに、原簿をみたら・・・ハンコがないものもありました。
これは恐ろしい・・・と私は思っております。
こういう齟齬を1つ1つ調べるとなると、かなり時間がかかってしまうことは確実です。
(払出簿、払出確認)
こういう「払出簿」という記録を、それぞれ社会保険事務所は持っています。だから、いつ国民年金に加入の手続きに来たのか、分かってしまっています。
確かに、国民年金の上記の納付記録には、20歳から未納という記録が入っているのだが、
実は、本人が市役所に加入しにきたのは、25歳の時で、そのときに手帳を発行した=払出簿に記録が出てくる=遡って支払ったとしても、せいぜい22歳の頃までの分で、20歳から2年間は「未納」になっている。
この払出記録をもとに、未納がどうなっているのか=払ったかどうかというのも分かってしまいます。
(住所の違い)
「NHKのニュースでも、ねんきん特別便の不到達件数が何万件と報道されていた。どうも俺もその1人だ」と、最近、窓口対応してて聞かされました。
もっと言えば、不達のために、不信感しか持っていない人も、わざわざ、ねんきん特別便をもたずにやってきて、「なんで郵送されてこないんだ」激怒しまくる人もいます。ねんきん特別便の電話に電話して・・・また、ここの対応、本当に適当なこと(住所が変わっていても「再度送ります」と言って4ヶ月程度たっても郵送されて来ないとか)を言って、全て窓口対応に任すから・・・。
全て、窓口のほうで対応する側の責任になってしまうので、特別便ダイヤルの回答に呆れるしかありません。
まあ、本人も、新聞報道とかの内容をそのまま思い込み、やってきては好き勝手なことを言っていくこともあります。
待ち時間が長いという他愛無いことから、記録がないことへの不信感まで、原因はいろいろあるけども、こっちもいちいちカッカしてたら疲れるだけなので、相手がすっきりするまで言わすだけ言わさないと仕方ないでしょう。
要は、ねんきん特別便の記録が正しいのかどうなのか、間違っているなら、漏れている記録を検索し、基礎年金番号に統合する(年金受給者なら再裁定の書類をとる)という作業を粛々とやっていくだけですから。
さて、住所が異なる理由は・・・届出がちゃんとされていないからの一言・・・ではすまない事例も多数ある。
(具体的な事例)
・住所の番地が「3」と「8」と間違っていた。→リアルに入力ミス。この人は、もちろん会社を辞めたあとに、普通は届く年金関係の通知物や国民年金の納付書も不達状態。そのため、5年程度、国民年金加入していない状況。その結果、「不在」と処理されてしまっている。・・・こういう人が本当にいるので、こういうニュースさえも見ない人は・・・もう国民年金など加入せずに老齢年金を受給できずに終わるのでしょうか、という恐ろしい状況もあったりします。
・平成5年頃の厚生年金の記録があり、その後本人は共済組合に加入。社会保険庁の厚生年金の情報には旧の住所の情報が入っていて、共済組合の情報(平成9年以降の基礎年金番号情報)とは異なる。しかし、特別便は、厚生年金のほうの住所で送付されたというオチ。
同様の事例で、現在、被保険者で国民年金の記録の住所(=前の住所)にねんきん特別便が送られて、会社経由(厚生年金の住所)で社員全員にねんきん特別便が渡された時に、その中に過去に入っていた自分の国民年金の記録がないと不信感をもってやってきていた人もいます。
・会社社長で、会社経由で社長の住所が変更になれば「厚生年金住所変更届」を本来出すのに、そのままにしている。だから変更後の住所には届かない。そのため社長が、ねんきん特別便が届かないということでやってくる。
もちろん、サラリーマンの場合で、夫のねんきん特別便は届くが、妻の分が届かない(=厚生年金住所変更届の欄を夫の分だけ埋めて、下段の妻の欄を書き加えないで出した)、またはその逆、というのも、上記の届出がちゃんとされていないからの一言でしょう。
・もともと基礎年金番号自体を持っていない。
「こんな人、本当にいるのか???」と思う人も中にはいるだろう。早い話が、昭和60年くらいから、国民年金など年金制度に全く加入の手続きをしていない人。
例としては、年齢はいろいろなのだが、だいたいは自営業の大工とか一人親方の「年金制度なんか知らない」「そんなもん入る気もない」という人。
それでもって、高齢になってからとか最近、ねんきん特別便がウチに届かないといって社会保険事務所にくる人。
制度自体を知らないのか、それとも制度に否定的なのかは分からないのだが、こういう人が来て・・・経験した事例なら、だいたいは厚生年金加入が50ヶ月程度、女性なら脱退手当金、もらえるかな?とかいうような記録で年金受給したいとやってくる。
70歳までしか国民年金が入れない=現在50歳後半で残り15年程度しか加入できない・・・老齢年金受給は、ほぼ無理、というような話。
厚生年金に入っている配偶者がいればカラ期間とか利用できそうなのだが・・・そういう配偶者でもないのだから、救いようがない。
この反対に、基礎年金番号が2つあるという場合。
本人も会社も社会保険について良く分からないで、中小企業の経理の者が手続きしているのでしょう。
あと、十分な本人確認できずに、窓口でもう一つ基礎年金番号を作ってもらい、結果として、基礎年金番号が2つある人がいる。
また、この場合、女性で結婚や離婚で姓が変わった、また住所も変わったとなると、本人確認が完全にできない状況になる。
・・・こういう状況が重なって、ねんきん特別便が1通だけ届いたり、さらには、旧姓の記録と、今の名前の記録と2つのねんきん特別便が届いたりというリアルな状況を窓口で見たりしています。
基礎年金番号の1本化(基礎年金番号重複取消届)は、現在就職しているのであれば、その勤務している会社を管轄する社会保険事務所で処理がされるので、結局、会社経由で行うことになります。だから、勤務している会社の管轄でない事務所に行っても、すぐに処理は出来ませんので、注意です。
・・・ねんきん特別便がこないのは、現実として、こういう人もいたりします。だから、もっと想像力を豊かに持つべきだし、どういう状況の人に手紙が届かないのか具体的に取材すべきですね、報道各社は。
(会社・・・社名変更、住所変更→そのために本人の記録も欠落)
これも、私が経験した事例。
氏名変更や住所変更は人間だけでなく、法人の名称変更や法人の住所移動の事実についても、着目すれば、それによって記録が漏れることがありうるという事例。
マイクロフィルム(原簿)と端末上の記録が、社名変更や会社の住所変更で、会社の事業所整理記号番号がよく変更されたために、原簿とその人の端末上の情報が乖離していた。
何度か社会保険事務所に来ていて、記録を探してほしいと言っていた妻。
亡くなった夫は大学卒業後、会社勤務していたが、会社合併が2~3度ほどあり、社名や本社がたびたび変わっていた。そのため転勤も多かったため引越しも多くしている。
しかし、夫はサラリーマンで在職中に死亡する50歳後半まで、ずっと会社勤務だったが、何故だか、ねんきん特別便の記録には昭和40年~43年の記録が抜けている。
・・・ということで、窓口に来ていた。
私は、特別便の記録と、WMの厚生年金の記録を見ながら、人間の氏名変更の場合(旧姓の記録と宙に浮いた年金番号)と同じく、会社の厚生年金の事業所整理記号番号に着目してみた。
(解説・・・記号番号の見方。前回、標準報酬月額の説明で解説済み)
よく厚生年金の記号番号が、標準報酬月額の記録の内容のところに書かれているのだが・・・
「3153-アイウ-000223」というように、どの会社の記号番号の台帳に、何番で掲載されている=そこからマイクロフィルムを見て、加入している期間に異議があるという人に「原簿ではこうなっていますよ」と見せて話をする。
この記号番号から、例えば、兵庫県(42)の明石市(13)なら、「4213」という数字が当てられ、「何県何市の会社だな」と見ただけで分かってくる。また、「アイウ」から先頭の文字の「ア」=「あ」のつく政管健保適用の社名(例えば、「麻生セメント」とか・・・社名は適当に書いている)とすぐわかる。
合併や会社の本社移転が多い=この会社の記号番号が転職していないのに厚生年金の記録を管理している原簿が別の管轄の事務所に移動されている=転職がないのに、よく記号番号が変わっている、という記録になる。
また、奥さんの証言から、抜けている記録の頃は合併や本社移転があった時期で、転勤が多かったという。
だとしたら・・・と考えて、私は、社名変更前の会社名を見て、記号番号を見て、この頃(昭和40年頃)の会社の記号番号をチェックして、みておく。そして、それらのマイクロフィルムがないかとチェックしていったら・・・ねんきん特別便や夫の記録情報になかった原簿(マイクロフィルム)からの記録(昭和40年~43年)を発見。
事務所の年金相談室の室長に「こういう記録があったのですが・・・」と報告。名前検索しても出てこない記録を偶然見つけることが出来た。
もちろん、氏名検索や会社の厚生年金の名簿からの検索では探せない難解な記録抜け落ちパターンだろうと思われる。
この話の説明、一般人の人には、まず非常に難解なのではないか?と思っています。
・・・というように、何カ月か、ねんきん特別便の記録を見ていたら、「多分、こういう理由で記録が落ちているのではないか?」とある程度想像つくものは何割かはあります。
つまり、ねんきん特別便に載っている記録は、ちゃんと捕捉できているものが載っているのかというと、国民年金の原簿(マイクロフィルム)と比較してみないと怪しいものもあるし、現実的に、上記のように、ねんきん特別便のほうにはないが、原簿には記録がある抜け落ちパターンのようなものもある、といえる。
原簿(マイクロフィルム)と、記号化・番号化・端末上の数字化した納付状況、厚生年金記録との比較は、本人の合理的な根拠ある異議があれば、比較してみる価値はあります。
ただ、窓口でも原簿を見せた時に時々言われることがあるのですが、「そのマイクロフィルムの記録自体間違ってる(偽造)ということはないのか?」といわれたら・・・そこまでは私も何とも言えません。
不信感の塊の人に、何を言っても無駄だろうことは予測がつきますから。
・・・第3者委員会まで行ったネタについては、いいアドバイスをすることはできないかもしれませんが、記録を探す、また窓口にいる人に「こういうことを言えばいい」というヒントになったのではないかとは思っております。
では、何か質問があれば、私のほうにメールでもください。



コメント